「今年も暑いな・・・」
今年の夏も俺はあの忌まわしい10年前の殺人事件を思い返していた。
あの事件が終わってからまるでそれ以来自分の時間が止まったような、そんな気がしていた。
場所は九州にある絶海の孤島。古い洋館。
そこに招待された若い7人の男女。
自分たちの前に現れた不気味な招待者の突然の死。
それにつづく第二、第三、第四の死と無差別殺人が襲いかかってきた。
俺は最後の生き残りとなり、狂乱状態で島から泳いで逃げ出した。
そして海の中で体力も尽き意識もなくなり、海の底へ沈んでいった・・・はずだった。
しかし俺が目を覚ましたのは病院の中だった。
地元の漁師たちに救出されたのだ。
その後のことを話せば長くなる。
柴崎邸殺人事件・・・俺が唯一の生き残りなのであった。