そんなはずはない・・・そんなはずは・・・。
俺はその病院を訪れた警察から惨殺された6人の男女の死体と、1人の首吊り死体が島から
見つかったこと。その首吊りした男性・滋之の足下にあった遺書から、犯人は滋之氏であると
断定したと聞かされたのであった。
その遺書には全員を呼び出して殺害することが目的・・・と書いてあったそうだ。
動機は恨みとのことだった。
(・・・違う!犯人は滋之じゃない!)
俺はとっさに判断した。
島の中で奴と俺が最後まで生き残っていたのは事実だ。しかし6人目が殺されたのを発見した後、
奴と俺が屋敷に戻る時に、奴は憔悴しきっていて
「何かもう疲れた・・・。」と呟いていた。
その後しばらく目を離していた後、居間で首を吊って死亡している姿を俺は発見した。
それに足下に遺書なんか無かったはずだ。
それに全員を殺すつもりなら、な ぜ 俺 を 殺 さ な か っ た の か?
「・・・そうですか。すると彼が犯人で」
「君は隙を見て島を泳いで脱出。途中で力尽きそうになったところを漁船の漁師たちによって
運良く救出された。そういうことだね?」
その警部は確認をとってきた。
「ええ、まあ・・・。」
違う!と言いたかったが、残念ながらそれで事件は結末を迎えた。
それから10年、また今年も夏を迎えたのだった。